記憶の地平線 (終末の予感)
この作品を造った80年代の終わりころは、ソ連崩壊や天安門事件の起こる数年前で、世界情勢は
混沌として不安な世相が広がっていました。
私生活でも父親が不治の病を患い、近しい人が続いて亡くなるなど暗い出来事が重なりました。
この作品の中では地割れやオオトカゲ、疾走する馬の群れやサメなど、得体のしれない恐怖や不吉な
予兆としてのシンボルばかりを配置しています。
荒涼とした風景の中で不安と苦しみが渦巻き、その中心に希望のシンボルとして女神を置きました。
その女神が降り立っているのか飛び去っているのか、それは観る人に任せる気持ちでした。