前作は、SAVANNAHというタイトルでアフリカの草原に生きる少女をモデル
に創った。
強烈な太陽を反射させて生きてるような世界がテーマだったことから、今回
はその対極にある 寒冷地で体温を閉じ込めるようにして暮らす人をモデル
に創ってみようと思った。
表面的なキーワードとしては、「寒さ」と「風」。
と言っても、ブリザードのようなものでなく、せめて冬の訪れを告げるくらいの寒風でなければならない。
どこまでフードを被せるか、つまりどれほど顔を出すか、フードの形を
どうするか、材質をどんな 感じに設定するか、意外と長時間迷った。
エスキースを先に創って始めたものの、フードの形を「何となくこんな
感じで」と済ませ、問題を先送りにしていた分、やはり本番で迷った。
その世界では熱の喪失を避けるため体を覆って隠そうと
するが、その為のショールやフードは欠かせない。
重ね着をすれば当然人の形は隠れていくが、隠される
ことで内在する形がより強調されることがある。
そのあたりを狙って制作を進めた。
左の肩を聳やかし、顔を幾分上向きにしたのは、荒波を乗り越える船の
舳先のイメージから。
W:50 D:40 H:60 樹脂彩色 2013年
シベリア